株取引する上で覚えておくべき、重要な経済指標についてご説明します。
雇用統計(米国)
・発表時間(日本時間) 夏時間:21:30、冬時間:22:30
・米国の夏時間(サマータイム):3月第2日曜日~11月第1日曜日
・発表団体:米国労働省
・発表内容:非農業部門雇用者数、失業率、平均時給
雇用統計は、米国の労働市場の状況を把握するための重要な指標の一つです。雇用者数、失業率、平均時給など、労働市場の健康状態を示すデーターが含まれています。
雇用統計では、非農業部門就業者数、失業率、平均時給が発表されます。
FRB(連邦準備銀行)の役割は、物価の安定と、雇用最大化であり、雇用統計の結果を受けて金融政策を検討します。
非農業部門就業者数
農業を除いた産業で働く雇用者数のこと。米国で発表される経済指標で最も株価への影響が大きいと言われています。
多くの証券会社が予測値を事前に発表していて、これを集計した、事前予測値がまとめられています。
この事前予測値と、実際の数値が大きく異なる事があります。
実際の数値が、事前予測値を上回った場合 → 景気が強い
実際の数値が、事前予測値を下回った場合 → 景気が弱い
給与支払実績を元に集計されるので、経営者や自営業者は就業者としてカウントされません。
失業率
FRBの役割に、雇用最大化があるので失業率は重要です。
但し、失業率は景気の動きに遅行する値なので、非農業部門就業者数より重視されません。
平均賃金
週平均労働時間、時間あたり平均賃金、週当たり平均賃金などのデーターが発表されます。
これは、個人所得やインフレ動向を分析する情報になります。時間あたり平均賃金は、賃金インフレの指標となるため重視されます。
為替への影響
雇用が強すぎるとインフレ懸念が強まり、利上げの可能性が高まります。
日本の金利より米国の金利が高くなれば、金利の高いドルが買われるので、円安ドル高につながります。
株価への影響
実際の数値が、事前予測値を上回った場合 → 景気が強い
となり、景気が低迷している局面では、雇用の増加は景気の回復と期待され、株価にポジティブな影響があります。
景気が良い局面では、インフレ懸念による利上げの可能性が高まるため、急激な雇用増加は株価にネガティブな影響もあります。
また、金利がすでに高く、金利下げ期待がある局面では、景気が強いと金利下げ時期が遅れるので、株価は下がることもあります。
ADP雇用者数
・発表時間(日本時間) 夏時間:21:15、冬時間:22:15
(米国の夏時間(サマータイム):3月第2日曜日~11月第1日曜日)
・発表団体:オートマチック・データ・プロセッシング(Automatic Data Processing, ADP)およびムーディーズ・アナリティクス(Moody’s Analytics)
・発表内容:民間部門の雇用者数の増減。小規模企業、中規模企業、大規模企業、それぞれについて産業別の内訳
ADP(Automatic Data Processing)社が雇用統計の2営業日前に前月の雇用者数を発表します。
ADP社は、米国の給与計算のアウトソーシング会社で、全米約40万社の給与計算を代行しています。
ADP雇用者数の結果により、2営業日後に発表される雇用統計の事前予測値が修正されます。
為替や株価への影響は、雇用統計と同様です。
CPI(消費者物価指数)
・発表時間(日本時間) 夏時間:21:30、冬時間:22:30
(米国の夏時間(サマータイム):3月第2日曜日~11月第1日曜日)
・発表団体:米国労働省
・発表内容:総合CPI、コアCPI
CPI(Consumer Price Index)は、モノやサービスの値段がどのくらい変動しているかを見る数値です。CPIが上昇していればインフレ、下降していればデフレ状態になります。
ゆるやかな上昇であれば、企業のお金が増え、生産が増加し、従業員へ支払う給与が増え、個人消費が増え、もとに戻って企業のお金が増えるという好循環になると言われています。
そこで、各国の中央銀行は、基本的に2%以内のインフレ率になるよう金融緩和や引き締めを調整しています。CPIは中央銀行の政策に大きな影響を与える指数であると言えます。
CPIの中から、変動が激しい食品とエネルギーの価格を除いたものをコアCPIといいます。
為替への影響
為替への影響も大きいので、投資家からも注目されます。
インフレ率が目標よりも高ければ、インフレを抑えるために金利を上げて、景気を抑えようとします。
各国で金利差があると、投資家はなるべく金利が高い国の通貨を買おうとするので、金利が高い国の通貨高となります。
日本の金利が低く、米国の金利が高ければ、円安ドル高になるわけです。
CPIの発表時には、為替が大きく瞬間的に大きく変動したり、トレンド転換が起こる場合もありますので注意が必要です。
株価への影響
2%を超える急激なインフレの場合、個人も企業も高価なモノを買うことになるため、個人消費は落ち込み、企業業績も悪化し、株価下落に繋がります。
更に、インフレ率を下げ景気を抑制するために、中央銀行が金利アップするだろうという雰囲気になると、株価が急落することもあります。(実際に金利アップが実行されるタイミングでは、織り込み済みで、株価が上がる場合もあるので注意)
米国の金利アップによる円安ドル高となれば、日本の自動車、機械などの輸出をする企業の株価はアップし、原材料を大量に輸入している企業や、海外旅行関連の企業
生産者物価指数(PPI)
・発表時間(日本時間) 夏時間:21:30、冬時間:22:30
(米国の夏時間(サマータイム):3月第2日曜日~11月第1日曜日)
・発表団体:米国労働省
・発表内容:総合CPI、コアCPI(食品、エネルギーを除いたもの)
PPIは、生産段階での商品の価格変動を測定する指標で、インフレの先行指標として重要です。
コアCPIは、総合CPIから、価格変動が大きい食品及びエネルギーセクターを除いた指標です。
為替への影響
PPI:上昇
→今後インフレになる可能性が高くなる →金利上昇の可能性が高まる →米ドルが高くなる
株価への影響
PPI:上昇
→企業利益を圧迫するので株価下がる。また、金利上昇の可能性が高まるので株価が下がる。
但し、金利が高い局面では、景気の悪化により今後、金利が下げられることを折込み始めるので、株価が上がる場合もあります。
以下未作成
小売売上高(Retail Sales)
・発表時間(日本時間) 夏時間:21:30、冬時間:22:30
(米国の夏時間(サマータイム):3月第2日曜日~11月第1日曜日)
・発表団体:米国商務省(U.S. Department of Commerce)
・発表内容:自動車を含む総合小売売上高、および自動車を除くコア小売売上高
小売売上高は、消費者による商品購入の総額を測定し、個人消費の動向を示します。
個人消費は米国経済の重要な部分を占めるため、この指標は経済の健康状態を評価する上で重要です。
FRBは、個人消費の動向を把握し、経済成長の見通しを立て、金融政策を検討します。
為替への影響
強い小売売上高データは、経済の強さを示し、米ドルを押し上げる要因になります。
株価への影響
good news = good news:消費者支出が増加すれば、企業の売上が増加するため、株価にとってプラスの要因となります。
good news = bad news:但し、景気が加熱している状況では、金融引き締め策として金利上昇の可能性が高まるので、株価にとってマイナスになることもあります。
ISM製造業景況指数(ISM Manufacturing Index)
・発表時間(日本時間) 夏時間:11:00、冬時間:12:00
(米国の夏時間(サマータイム):3月第2日曜日~11月第1日曜日)
・発表団体:供給管理協会(Institute for Supply Management, ISM)
・発表内容:新規受注、生産、雇用、供給者納入遅延、在庫などのサブコンポーネントから構成される指数
ISM製造業景況指数は、米国の製造業の経済活動を測定する指標で、50を上回ると拡大、下回ると縮小を示します。
FEBは、製造業の健康状態を把握し、経済全体の動向を予測し、金融政策を検討します。
為替への影響
高い指数は米ドルを強化する可能性があります。
株価への影響
製造業の拡大は経済全体の成長を示すため、株価にプラスの影響を与えることが多いです。
但し、経済が過熱した状況の場合、金利上昇懸念により株価がマイナスになることもあります。
FOMC政策金利発表(Federal Open Market Committee Rate Decision)
・発表時間(日本時間) 夏時間:3:00、冬時間:4:00
(米国の夏時間(サマータイム):3月第2日曜日~11月第1日曜日)
・発表団体:連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board, FRB)
・発表内容:政策金利(フェデラル・ファンド金利)の決定および声明/議事録
FOMCは、連邦準備制度(FRB)が金融政策を決定するための会合で、その結果として政策金利が発表されます。
FRBは、物価安定と最大雇用を達成するため、金融政策検討し発表します。
為替への影響
金利が引き上げられると、米ドルが上昇する傾向があります。逆に、金利が引き下げられると、米ドルが弱まる可能性があります。
株価への影響
金利の上昇は借入コストの増加につながるため、株価に悪影響を与えることがあります。一方、金利の引き下げは、株価にプラスの影響を与える可能性があります。
但し、金利の引き下げ=経済の急激な後退(リセッション)と市場が捉えれば、株価の暴落を招くリスクもあります。
これらの経済指標は、米国だけでなく、世界中の金融市場に影響を与えます。発表後、為替や株式市場に大きな変動が見られることが多いため、投資家やトレーダーはこれらの指標を注視しています。
国内総生産(GDP: Gross Domestic Product)
・発表時間(日本時間) 夏時間:21:30、冬時間:22:30
(米国の夏時間(サマータイム):3月第2日曜日~11月第1日曜日)
・発表団体:米国商務省経済分析局(Bureau of Economic Analysis, BEA)
・発表内容:GDP
国内総生産(GDP)は、ある国や地域で一定期間(通常は四半期または年間)に生産された財やサービスの総額を示す指標で、経済活動の規模を測る最も重要な指標の一つです。
GDPは、経済の成長や収縮を評価するために使われ、経済政策の立案や投資判断において中心的な役割を果たします。
GDPは、経済の総体的な健康状態を把握し、経済成長率を評価するために利用されます。GDPの成長率は、経済が拡大しているか、収縮しているかを示し、政策立案者や市場参加者にとって重要な指標です。
発表内容: GDPは、3つの主要なアプローチから算出されます。
- 支出アプローチ(Expenditure Approach): 消費、投資、政府支出、純輸出(輸出-輸入)の合計として計算されます。
- 所得アプローチ(Income Approach): 賃金、企業利益、政府の税収、賃料などの合計から算出されます。
- 生産アプローチ(Production Approach): 経済全体の付加価値の合計として計算されます。
各四半期のGDPは、前年同期比(年率換算)での成長率として表されます。
為替への影響
GDP成長率が予想を上回る場合、経済の強さが示され、米ドルが強化される傾向があります。逆に、予想を下回る成長率は米ドルの弱含みにつながることがあります。
株価への影響
強いGDP成長は、企業の業績向上や消費者信頼感の高まりを示すため、株価にプラスの影響を与えることが多いです。ただし、経済が過熱していると判断される場合、利上げ懸念が株価の逆風となることもあります。